2012年11月03日

唐突な「大学設置不認可」はおかしいのでは?

 先日就任した田中真紀子文部科学大臣が、来春の開学認可を答申していた3つの大学の開学をいきなり不認可とした問題。「大学の数が多いから大学の質が低くなっている」という理由だとされています。

 しかし、文部科学省の指導を受けて設置に向けて動いていた大学側にとっては寝耳に水な話でしょうし、一部のテレビ報道のインタビューではこれらの新設大学に編入することを決めていた短大2年生の方もいるという事もいわれていたので、そうした方の進路をいきなり断つようなやり方はきわめて強引なのではないかと考えざるを得ません。

 そもそも、「大学の数が多いから大学の質が低くなっている」という意見も、一方的な見方にしかすぎないのではないでしょうか。私自身も「大学全入」などといわれてきた世代で、年齢が上の世代からは、あまりよく思われていない立場でありますが、その中にもまじめな学生が必死に勉強しているということも考えてほしいと思います。たとえ、それが地方の定員割れの私立だったとしても、その環境で頑張ってよい成績をおさめる人もいるわけです。そうした人の中には、真面目な人でも、高校でいじめや病気などが原因が学業に支障があった状態で卒業したり、高卒認定試験を受けて大学受験に臨んだりしているなど、大学入学前の学習環境に恵まれていなかった人もいます。そうした人が、決して名門とはいえない、地方の全入といわれるような大学に入ったとしても、そこで大学の学問に触れて、そこから学力を伸ばして、卒業後に良い形で次のステップに進むというケースも多いわけです。

 大学淘汰の時代というのは、数年前からも言われていたとは思いますが、それでも、大学を淘汰しすぎるようなことになれば、高校までの学習環境に恵まれていなかった人にたいして、自分をよりよく伸ばす機会を不当に奪うことになりかねません。

 大学生の中にも、不真面目な学生も多い事は事実ですが、そのため「大学はモラトリアム」という一方的な先入観ばかりが先行し、大学教育を多くの人が受けることのメリットについて目を背けている人が多いと思います。実は日本の大学進学率はOECD(経済協力開発機構)の平均値よりも低いといわれているほどです。一方、お隣の韓国の大学進学率の高さは有名です。日本の大学進学率はそれほど高くないのに、それでも、大学を淘汰する方向性にばかり政策が動いているのは、おかしいのではないかと思います。

 もちろん、大学を義務教育にしろということを言うつもりはありませんが、どのようなレベルの大学であっても、あるいはどの地方の大学であっても、そこで真面目に学ぼうとする人の機会を奪い取るようなことは好ましいとは思いません。また、不真面目な学生を含めて考えても、大学卒業の水準に達した時点で、高校卒業の時点では身についていない知識や能力を身に着けたわけですから、それだけでも、大学教育のプラスの効果は現れていると考えるべきだと私は思います。

 私は、大学で学びたくても経済的に学べない人に対する学費の補助などを充実させ、より多くの人に大学教育(18歳時点だけでなく生涯教育も含め)を受ける機会を広く保障することで大学進学率を上昇させるほうが、日本の国益にとってもよいことだと思います。
posted by ななこ at 01:38| 大学教育 | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。